「日曜日」(掌編)
2週間で小説を書く! (幻冬舎新書) 著者:清水 良典
販売元:幻冬舎
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『2週間で小説を書く』が提案するトレーニング第1回。
次の掌編の続きを書け。
「日曜日」
ある日曜の朝早くにスタントン通りを歩いていると、何メートルか先に一羽の鶏が見えた。私の方が歩みが速かったので、じきに追いついていった。十八番街も近くなってきたころには、鶏のすぐ後ろまで来ていた。十八番街で、鶏は南に曲がった。角から四軒目の家まで来ると、私道に入っていき、玄関前の階段をぴょんぴょん上がって、金属の防風ドアをくちばしで鋭く叩いた。やや間があって、ドアが開き、鶏は中に入っていった。(ポール・オースター編、柴田元幸訳、ナショナルストーリー・プロジェクト全5巻BOX より)
あっけにとられて立ちつくしていると、今度は南の十七番街の方からもう一羽鶏がやって来るのが見えた。数メートル離れて男がついてきた。鶏は首をひょこひょこ前後に揺らしながら、目の前へ歩いてきた。私道に入っていき、玄関前の階段をぴょんぴょん上がって、ドアをくちばしで突いた。ドアが開くと、鶏は家の中に消えていった。男も僕と同じようにあっけにとられて立ちつくした。
言葉を交わす間もなく、今度は西の十六番街の方からもう一羽鶏がやって来た。今度は女だった。後ろに女を引き連れ、悠然と直進して、僕らを追い越していった。あっけにとられた僕ら三人を残し、鶏は石段をぴょんぴょん登り、ドアをくちばしで突いて、ドアが開いて、家の中に入っていった。
僕らは顔を見合わせた。見知らぬ男二人と女一人。気まずい時間が流れる。
ドアが開いた。赤い前掛けをつけたおばあさんが出てきた。右手をかかげ、小さなくちばしをつくると、手招きしながら、こちらに呼びかけた。
「まあ今日は女の子までいるのね。ミートパイをごちそうするから、早くいらっしゃい」
赤い前掛けから赤い汁がぽたぽたと落ちる。
はっと息をのむ。
その隙に、男と女は視線を交わし、笑みまでこぼす。
二人は僕をおいてゆっくりと歩いていき、ぴょんぴょん石段を登る。防風ドアの前でしゃがみ、片手でくちばしをつくってコンコンと鋭くノックし、にっこりと笑いあう。おばあさんが女に向かってなにごとかささやき、彼女は首に下がっていた貝殻の飾りをポケットにしまう。男がおもむろに女の手を握り、二人並んでドアの向こうに消える。
「ミートパイをごちそうするから、早くいらっしゃい」
おばあさんは、右手をかかげて小さなくちばしをつくると、手招きしながら、呼びかける。
かぶりを振った勢いで踵を返し、スタントン通りへ戻る。明日が待ち遠しい。
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